仕事にはゴールがあり、そのゴールを達成するものです。なので、仕事には正解があると考えるのも無理はありません。正解がなければゴールを定義できないのですから、上司がゴールを定義するとすれば上司は正解を知っていなければなりません。
逆に、科学ですら真実ではありません。科学とは事象の現時点で分かっているもっともらしい真実に過ぎません。科学的なアプローチが優れているのは、理論だけでなく実験が伴っていることです。ひとつの理論を証明するためには膨大な実験を行います。実験結果には誤差が含まれているので、誤差が一定の閾値以内に収まれば、その理論が確からしいという結論を人間が判断します。当然ながら、実験の結果から理論が間違っているという結論に到達することも沢山あります。その場合は理論を見直す必要があります。
仕事の話に戻ると、上司は仕事のゴールは知っていますが、正解は知りません。単なる作業の場合は正解があるとも言えます。例えば、経理の仕事は一円単位で正解があります。10,000円のものが10,001円では不正解です。作業と違って、仕事の場合はゴールを達成するための正解が沢山あります。そのなかでベストだと思える正解が答えになります。なぜ、仕事の場合は正解が沢山あるかといえば、そこには現実の制約があり、その制約のなかで比較検討してベストな答えを人間が選択するのです。この選択するという責任が仕事です。仕事とはこの選択の連鎖です。選択は現実の状況によって異なるのと、選択する人によっても異なるので、仕事には正解がないということになります。科学における実験と同じように、仕事はやってみなければわからない。
仕事の本質が選択だとすれば、答え(Answer)が重要なのではなく、過程(Process)が重要ということです。なぜ、それを選択したのかを説明できる必要があります。現実の状況をどのように分析して、それをどう解釈して、それによってどのような答えにたどり着いたのかという、自分のアイディアを活かせるクリエイティブな活動です。仕事の面白さはここにあります。上司も、良い上司であるほど結論にたどり着くまでの過程を見ます。良い上司なら自分なりの答えと過程をもって仕事を依頼することがありますが、その想定と違う考えが出てくることを望んでいます。
それでも、仕事に正解を求める人が後を絶ちません。正解がないと不安ということもあるようです。学校では正解があって、教師は正解を知っていて、その正解を次からは答えることで良い成績が取れます。毎回正解が違うとなったら、同じ問題が出ても次に良い成績が取れるかどうかはわからないのでとても不安になりますよね。良い成績を取って成長したいという欲求が強いほど正解を知りたがるのだと思います。この考え方だと、正解というものは自分の外の世界にあり、自分を成長させてその正解を理解できるようになりたい。そのように考えるのでしょう。まじめな勉強家に多いかもしれません。それなのに、正解がないとか、正解が沢山あると言われると成長するための基準を奪われるのですから、困惑するし腹も立つのだと思います。背景には学校教育の影響があるかもしれません。
ただ、事実として仕事に正解はありません。正解は作り出して選択するものです。選択するには責任が伴います。人によってはその責任を嫌がる人もいるようです。自分が選択するのを嫌がり、上司に選んでもらうことで責任を回避することもあります。それも場合によっては仕事を進めるテクニックではあります。ただ、自分の意見がないのか?と思われることになります。まともな上司であれば部下が選んだものを採択すれば、採択した自分に責任があると考えてくれます。
前半で経理の例をあげましたが、経理であっても答え(Answer)だけでなく、過程(Process)が重要です。同じ10,000円という正解でも計算過程が間違っていれば、次は間違うからです。経理のような形式化されていると思われる仕事でも、より正確に素早く正解にたどり着くための過程を工夫する余地は沢山あります。以外と形式化されていると思われている仕事で無駄なことをやっていることはよくあることです。
仕事には正解がないからこそ面白いと思えるといいですね。
https://11iz.jp/shigotonokachi/
コメント
コメント一覧 (3件)
仕事や子育てをしていると思いもしないことがいっぱいです。
生活をしていると、晴れると思って傘を持たず出かけても雨が降る時もあって。
濡れたくないと思い雨を避けた道を選んでも、雨に濡れて走っても、雨が止むまで動かないことも。
これも答えの一つで。
実際は雨が止むまで待っているけど止みそうにないから濡れても次の屋根があるとこまで走ったり、
濡れない方法はないかと考えながらも、ちょっと進んでは雨宿りしたり、一緒にいた人の傘に入れてもらったり。
雨だけじゃなくて、晴れの日もあったりするな。
自分の思いがけない日常にいつもありそうな事が
仕事では日常茶飯事起きているように思えます。
選んだ道より、選ぶ選択の考えなのでしょうか。
仕事はそれに溢れていて、沢山の生活や社会の問題がいっぱい溢れているから辞められないのかもしれないのかもと思えました。
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